蒲田区の前に立って

 蒲田区の前に立ってしみじみ思った。
 旧町名がない所にほど、こうした大物が転がっている。この感覚について、私はこれ以上の説明を放棄せざるを得ない。なぜならこれは経験に基づく体感であって、私の貧弱な表現力では形容できないからだ。
 これは同じようなことをしている人ならよく分かると思う。尤も、同業者がこのサイトを見ているか、そもそもネオシティーズ外の人がこのページを見ているのか定かではないが。
 他の例を挙げるなら、淀橋区上落合などがそうだろう。
 旧地名が存在しない場所は存在しないと思う。日本中のどこにも存在しないか、と問われたら微妙(山奥の村とかならあるかも知れない)だが、都市に於いて、東京の市街に於いては、ないと思う。旧町名と言えば一般には住居表示絡みだろう。住居表示前後で地名が変わらない場所は「旧町名がない」と言える。しかしそういう場所でも、結局は東京市編入前の自治体名や字名がある。旧町名が「ない」場所は、厳密には存在しない。東京区部に於いて「旧町名を探す」なかで、最もポピュラーな「住居表示で消滅した地名を探す」と言う行為が成立しない場所に、なぜかこうした大物は潜んでいる。なぜだろう。私は頭を抱えながら、この場所を後にした。そう言えば、荏原郡目黒町なんかも、旧町名がない場所だよね。旧町名がない町にほど、旧町名を超えた旧町名がある。極端な場合「町」ですらない。うん、とりあえず、歩こうか。

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