青の時間


 空を厚い雲が覆う日、日暮れは茜ではなく青の時間となる。


 瀕死の桜花。空は鼠の色をしている。世界は色設定をミスったと思うほどに青く、まるで出来の悪いフイルムで撮った写真のようであった。


 青みそのまま光が失せてゆく。青い時間にが訪れ、ゆっくりと暗くなる。それは、茜がまばゆく、光陰のはっきりした通常の日暮れとは全く異なる、異形のような世界である。


 広大な草原が青く染まり、闇に消える。私はカメラをしまった。

©このホームページの管理人