中身のない読書感想文

アメリカひじき・火垂るの墓(野坂昭如)


背表紙には「アメリカひじき・火垂るの墓」と書いてあるのに表紙には何故か火垂るの墓としか書いていない。(ここのテキストを下寄せにしたい。)
【適当な解説】歌手・作家の野坂昭如の短編が6編収録された短編集です。表題作のうち「火垂るの墓」はアニメ映画にもなったので、有名なのではないでしょうか。ちなみに管理人は映画版は観ていないです。
 著者の野坂昭如は表題の二作で直木賞を受賞したそうです。その、直木三十五って誰ですか(無知)
新潮文庫版です。

火垂るの墓

 先述の通り映画になっているので、結構有名な作品なのではないでしょうか。悲しい物語ではありますが、個人的には後述の「焼土層」の方が切ないと思います。

アメリカひじき

 実はこの作品も映画化されているみたいなのですが、情報が少なくよく分かりません。俊夫の屈折の仕方は私(管理人)のそれに近いものがあります。故に共感できる内容でしたが、敗戦による価値観の急激な転換や、戦中戦後の物資不足の日本と、物に富んだ駐留アメリカ軍との対比などを考えると、俊夫の心中には私以上に強烈な屈折・劣等感があるのではないかと思いますね。
 私の話ですが、私には俊夫のような強烈な体験がないにも関わらず、なぜこうも屈折した人格なのだろう、不思議です。
 「オチンチンナショナリズム」と言うパワーワードが管理人のお気に入りです。オチンチンナショナリズムのくだり自体が面白いですからね。

焼土層

 短い話なので余り書きすぎるとネタバレになると思い、多くは書かないことにします。(多くを書く能力がないと言うのもある。)どちらがより優れている、どちらがより良いと言う話ではなく、単に私個人の感想としてですが、「火垂るの墓」で駅員が暗がりに投げ捨てたドロップ缶の着弾に草に宿る蛍驚いて飛び交う様よりも、工事現場の掘られた穴の焼土の層に善衛咽びながら母の遺骨ねじ込む様の方がよっぽど心に刺さったと言うか、胸を打つものがありました。これは是非読んで頂きたい。「好き」と言う言葉を使うのは何となく憚られるが、しばらく経ったらまた読み返したくなるであろう作品です。普通に泣きました。

死児を育てる

 これもまた壮絶な作品です。内容は理解できますが、それを他人に伝える技量はない。あらすじとしては、子殺しの罪で拘留中の久子には、戦時中に2歳で没した妹・文子が居たわけですが、十数年が経ち娘・伸子を授かった久子の目には、伸子と文子が重なって見える。久子には事実上文子を殺めたと言う負い目のような思いがあった訳ですね。
 久子もまた、本当は誰かに殺されたかったのではないか、と私は思います。自殺ではなく、文子のように、伸子のように、そして「ねずみ」のように、サディスティックな他者に殺されたいと言う願望があったのではないかと。尤も、一人殺した程度で「ねずみ」にしてもらえるとは考えづらいですが。(主に司法的な意味で)

ラ・クンパルシータ

 まだ読んでいません。

プアボーイ

 まだ読んでいません。
一個前へ 振り出しへ
©このホームページの管理人