辻井さんの本を読むようになった直接のきっかけは、文春オンラインに載っていた、「堤清二 罪と業最後の「告白」(児玉博)の抜粋記事です。
#1「毎日のおかずにも事欠いて弁当が真っ白なんだ」西武グループ創業者の元に生まれた堤清二が送った“奇妙”な生活
#2「土下座できないならば俺は会わない」西武グループの“異母兄弟”、堤清二・義明の“確執”
#3「女中と同衾している姿さえ目の当たりに見せられ…」西武グループ・堤清二が父・康次郎に絶縁状を送った理由
#4「本当に可哀想なことをしてしまって…」西武王国・堤清二が語った“子供を残しパリへ逃避した”妹への懺悔
この4本がとても面白く興味深かったので、図書館で「最後の告白」を借りて読んだのが辻井喬への入り口でした。
全くの余談ですが、文春の書籍抜粋記事がきっかけで本を読んだのはこれが二冊目で、一冊目は清原和博さんの「薬物依存症の日々」でした。こちらは流通ではなく電鉄の方ですが、奇しくも西武関係者なんですよね。あのときはお金があったので文庫を買ったのですが、現在所在不明です(汗)
「最後の告白」を読んで、辻井喬の小説を読んでみよう、となり、「いつもと同じ春」を読みました。これが辻井さんの作品との初接触でした。
hontoで一章が丸々試し読み出来るのですが、とても面白かったので「これはありだな」と思い勢いで買ったんですよね。(hontoのリンクです。「立ち読み」から一章が読めます。)
「いつもと同じ春」はおそらく辻井さんの実体験を元にした作品で、先に「最後の告白」を読んで辻井さんの人となりを知っておくと結構楽しんで読めると考えます。
これから辻井さんの本を読み始めるであろうあなたにも分かって頂けると思いますが、辻井さんの小説は結構「重い」んですよね。私は合間合間にちまちま読み進めて、一ヶ月半くらいかけて読んだ気がします。
「いつもと同じ春」の後で、「彷徨の季節の中で」を読みました。この時期はお金がなかったので、図書館で借りました。最初は新潮文庫版を借りましたが、文字が小さすぎて読めなかったので中高文庫版を借りました。中公版は作者近影のぎこちない笑顔が見どころです。ただ、裏表紙のあらすじは新潮文庫版のほうが好みです。
辻井さんの良いところは情景描写の美しさです。詩人も兼ねていると言うことで、詩のエッセンスが滲んでいる感じがします。
辻井さんの詩集も何冊か目を通したのですが、こちらは微妙なんですよね。「微妙」と言うのは、あまり私の好みではないかな、と言う意味です。辻井さんの小説や随筆は好きなんだけど、詩集はあんまり好みじゃないんですよね。勿論ここらへんは人の好みでしょうけど。私は小説や随筆が好きです、
別に「この順番で読むべき!」みたいなのはありません。上記で述べたのは、あくまで私はこう言う経路で辻井喬ワールドに入ったよ、と言うことに過ぎません。何かしら辻井さんの本を読んで、「面白い」と感じたのであれば、随筆であれば「幻花」、小説であれば短篇集の「西行桜」や「陸の終り」も是非目を通して欲しいですね。
完全に書き忘れたのですが、社会学者の上野千鶴子さんとの対談「ポスト消費社会のゆくえ」も一読に値すると考えます。題名の通りポスト消費社会を論じたりもしていますが、全体の流れとしては、セゾンとは何だったのかを、経営者だった辻井喬(堤清二)さんと、セゾンの社史編纂にも携わった上野さんが語り合う、と言うような流れの本です。この本は中々読まれている本で、ネットで調べると色々な人が感想を寄せています。
辻井喬について語る人の多くが、辻井喬が堤清二であることを念頭に置いているのが、私はかなしいです。もちろん、辻井さんが堤清二であるのは事実だし、堤清二の体験が辻井喬の作品の下地になっている所はあるでしょうけど、私はだな、堤清二であることに関係なく、作家・辻井喬を語りたいんだよな。
辻井喬/堤清二著書一覧(セゾン現代美術館)
hontoの辻井喬の著書一覧←彷徨の季節の中でがなくてかなしい!
弊サイトの「国境の終り」感想ページ
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